12月29日
ずっと四六時中幼馴染の死について考えている1日だった。
毛布にくるまって、コーヒーマグで手を温めながら、ゆっくりゆっくり考えていた。
突然、ぽんとこの世から存在が消えてもまるで実感が、ない。
心にぽっかり穴があくってこういうことなのかしら。
私の中では、まだ彼を含めた幼馴染たちと山や街で遊んだ記憶が沢山想起される。
スポーツ万能で、アウトドア大好きで、何でも器用にこなすすらりと背の高い彼。
事実を受け容れるには、まだまだ多くの時間が、かかる。
喉に込み上げてくるものを下げては、また思案し、瞼を伏せれば頰を一筋の涙が伝い、机に臥せる。
初めて身近な人間の、早すぎる彼の死を聞いて、10年以上会えてない彼らに会う一年にしたい。
まめに連絡をとること、会うこと。
近況を知るだけでも、彼らがどんな生活を送って生きているのか。
旧友に会う年にしたい。
11月7日
泣いて、傷ついて、楽しい話をして。
電話越しだからこそ、顔が見えないからこそ相手のことを考えて言葉を選ぶものだとわたしは思う。
一緒の時間が増えるほど嫌なところが目につく。服や靴下を脱ぎ捨てたり、部屋が散らかってたり、相手の仕事を蔑んだり。
あまり負の感情に囚われるととてもとても疲れてしまうから甘いものとたっぷりの睡眠をとる。けれども、やっぱり今回は耐えられなくて肉を食べた方がいいと言われた。
おいしいものは活力になる。
私は自分の容姿に全く自信がない。
痩せたら可愛いのにとモデルな妹に言われたが、意志が弱いのも重々承知。
とりあえず、食事から徐々にシフトしていこう。あと、溜まりにたまったクリームやサンプル、化粧水を使いきろうね。
10月27日
月日の流れは早いもので、誕生日から1ヶ月経っていた。
私のコンプレックスを指摘した彼。
実は前々から直さな直さなと思ってたところをズバリ言われた。まあそうだよねー。気になるよねー。
とりあえず髪は引き続き伸ばすとして、問題は男性好みの服と髪型と体型とメイクと脱毛。
ダイエットはいずれしなければと思ってたから良い機会ということでやるしかない。
女の子ってお金かかるよねー。でも、自信が欲しい。多分見た目のコンプレックスが私の弱さの大半だから。
コスメカウンターに行ってみたい。店員さんとお話がしたい。コミケで本を売りたい。
小さな願いをひとつずつ20代の間に何とか達成したいな。
それから家族のことは考えよう。
そうそう、彼女からセンスについて褒められた。なんだかんだ大人っぽく綺麗にまとめるところが良いと言われた。そして、心から色んな話ができること、彼のことをなんだかんだ好きでその姿が可愛いこと。今週バタバタしたから心が救われたな。来週も強く生きよう。
8月28日
私には覚悟が、ない。
飛び込む勇気と、始める覚悟が足りない。
そして続けること。
台風の名残か蒸し蒸しした夏の夜。
涼しい秋まであと少し。
季節だけが巡って私だけが取り残されてる感覚。
踏み出す一歩が重たい。
8月14日
圧倒された。
私もこんな会社の先輩がいたらよかった、こうなりたい、背筋がピンとしてて、凛としていて、美しくて、赤ちゃんを抱えた伝説の彼女は本当に綺麗だった。
そして、そんな彼女の側にいた女性のふとした一言が私を大きく傷つけた。
たしかにそれは、真実である。
私はまだまだ半人前だし、何が正解でダメなのか、どこまで介入していいのか、自分ひとりしかいなくて誰も教えてくれない。
未熟なまま自分の裁量で仕事ができる自由度が高い今の職場は本当に不釣り合いだ。
わかってる。
本当に。
自分が一番できないことは自分が一番わかってる。
そして、ここにいてもいつまでたっても何も変わらないことも私は知っている。
私が私に甘くてだらけていることも。
未来の私がしあわせな顔であるように、今の私がやれることやるしかないのだ。
あとさ、すっごいすっごい悔しくて!
何くそこのやろー!!って気持ち!!!
絶対見返したるから!
今に見てろと笑ってやれ精神大事!!!!!!
8月12日
昨日の電話で彼を傷つけてしまった。
私が故意で言ったことではないことも、そして、彼に対する侮辱でもないことも互いに知っているが、彼が嫌だと思ってしまったことに変わりはない。
ざっくり言えば、身内への愛の大きさを語った。身内への愛と彼への愛は別物である。もちろんそれは彼も理解しているけれど、寂しそうな声をしていた。
普段、大らかで穏やかな口調の彼の声に覇気はなくしょんぼりしていた。
いつだって、傷つけてから、その後悔に気づくもの。
行動や態度でしかこれからの誠意は伝わらないだろう。
薄い青の空を眺めながら、今日は髪を切りに行く。